2015年7月23日木曜日

だいぶ前にも暑かったんですが伊勢崎賢治論考をザッピングするには

http://blogos.com/article/123854/
まずはここを読めば、ざっくりとこの本の概要はつかめますのでご紹介しておきますね。(こんな特集ばっかりだったら、もっとサクサクエビデンス集められるんですけどねぇ)

日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門 (朝日新書)
著者/訳者:伊勢崎 賢治
出版社:朝日新聞出版( 2014-10-10 )
定価:¥ 842
Amazon価格:¥ 842
新書 ( 256 ページ )
http://blogos.com/article/123854/

以下引用
記事
SYNODOS2015年07月21日 21:15安保法制について考える前に、絶対に知っておきたい8つのこと - 伊勢崎賢治『戦場からの集団的自衛権入門』から




国連PKO上級幹部として、東ティモール、シエラレオネの戦後処理を担当。また日本政府特別代表としてアフガニスタンの武装解除の任に就き、紛争屋として、戦場でアメリカ軍、NATO軍と直接対峙し、同時に協力してきた東京外国語大学教授の伊勢崎賢治氏。日本人で最も戦場と言う名の現場を知る氏が昨年刊行した『日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門』から、安保法制について考える前に、有権者全員が心に留めておきたいことを以下に記す。(構成 / 編集集団WawW ! Publishing 乙丸益伸

1.集団的自衛権と集団安全保障は明確に違うもの
そもそも集団的自衛権の「集団」と、集団安全保障の「集団」では意味が違います。前者における集団は「同盟国」のみを指し、後者における集団は「国連加盟国全体」を指しています。 p.25
「集団的自衛権」という文脈(略)の時に出ていく武力組織はNATOなどの有志連合でその指揮権は、攻撃に参加している各国が持っています。(略)つまり、各国は各々の「国益」のためにそれを行使するのです。(略)一方の「集団安全保障」という文脈での「集団」とは、(略)「国連加盟国全体」を指しています。この時に出ていく武力組織は、国連が承認し、国連が指揮の責任を持つPKO(国連平和維持活動)の多国籍部隊――PKF(国連平和維持軍)であることが基本です。(略)「国連的措置」(集団安全保障のこと;構成者注)とは、自分とは利害関係の全くない国の問題でも、(略)皆で窮地に陥った人々を助けようという性格のものです。こちらは、明確に“世界益”のために行われるものです。(p.29)
この二つがごっちゃになると、世界情勢を見る場合に、大きな混乱が生じることになる。

「集団的自衛権」は、あくまで“国益”のために行われるものであるため、時に各国のエゴがむき出しになることもあります。一方の「国連的措置」は“世界益”のために行われるものであるため、一国上の都合やエゴは、建前上、出せません。(p.30)
PKOの活動など――は清らかなイメージを付随させやすいものです。そのため、あえて「集団安全保障」という日本語訳を使い、「集団的自衛権」と混乱させることで、その行使の禁止の箍(たが)を外してしまおう、と考えている勢力がいるのではないかと、私は思っているのですが……。 p.30
どういうことかは、追々説明していく。

2.自衛隊の海外派遣を推進したのは「湾岸戦争のトラウマ」という名の外務省の勘違いだった
集団的自衛権の問題は、アメリカとの関係に左右されるといっても過言ではありません。つまり、アメリカに国際的な事件が起きるたびに、日本は集団的自衛権の解釈について頭を悩ませてきたのです。 p.36
湾岸戦争当時の1991年6月に、日本は、海上自衛隊の掃海部隊をペルシャ湾に派遣して以降、1992年6月にPKO協力法を成立させた。その3か月後の9月にカンボジアPKO、翌1993年5月にはモザンビークPKO、1994年9月にはルワンダ難民救護派遣、1996年2月にはゴラン高原PKO派遣……。

こうして、自衛隊の海外派遣へと突き進んできた日本国政府ですが、そのモチベーションは、本当に、一般に報じられている通り、「日本が国際貢献をするため」というものだったのでしょうか。(略)一番大きかったのは、外務省側の思惑で、外務省自身が「湾岸戦争のトラウマ」と呼んでいるものです。この説明は、湾岸戦争当時の海部内閣で、首相の演説担当・国会担当の内閣参事官として官邸にいた、江田賢治さん(元「維新の党」共同代表、当時通産官僚)の2007年10月22日のブログの記事が詳しいので、一部引用します。

「湾岸戦争の時には130億ドルもの支援をしながら「汗をかかない」と批判されたと、「湾岸戦争のトラウマ」をことさら強調する論者も多い。しかし待ってほしい。「湾岸戦争のトラウマ」を言うなら、私も、その当事者の一人である。当時は海部内閣であったが、私は総理の演説担当・国会担当(内閣副参事官)として首相官邸にいた。(略)

確かに「カネだけ出して汗をかかなかったから」日本は批判されたのだ、と言うのは、当たっていないことはないが、多分に以下のような特殊事情があったことに留意すべきである。(略)

実は、この「湾岸戦争のトラウマ」とは、直接的には、当事国のクウェートが戦後出した米国新聞の感謝広告に「JAPAN」がなかったというコンテクストで使われるのだが、しかし、これも考えてみれば当たり前のことなのだ。

実は、90億ドル支援(当時のお金で約1兆2000億円)のうち、クウェートに払われたのはたった6億円だったという事実を知らない人が多い。1兆円以上のお金は米国のために支出されたのだ。クウェートの首長は石油王で、イラクがクウェートに侵攻している間は、実は隣国のサウジの超高級ホテルのスウィートルームで優雅な生活を送っていた。その石油王にとって6億円程度は「はした金」にすぎないわけだから、感謝しようにもその気がわいてこないのは、ある意味しょうがないことなのだ。

言いたいことは、「湾岸戦争のトラウマ」を例にあげながら、しきりに「お金だけではだめだ」「汗をかけ」「自衛隊を出さなければ」と言っている人には、背後に、こうした事情、経緯があったことを知った上で発言してもらいたいということだ。「おカネ」は決して卑下すべき貢献策ではない。時と場合によっては、効果てきめん、感謝される貢献策となりうることも肝に銘じておくべきであろう。」

(略)つまり、外務省と、自衛隊の海外派遣を推進したい政治家の言う「湾岸戦争のトラウマ」とは、外務省のミスであり、アメリカからのメッセージの背後にある本心を読み違えた思い込みだったのです。(p.49)
3.アメリカのエゴ丸出しの戦争に、日本はまたも勘違いで加担していた
イラク戦争は、アフガニスタン戦争よりもさらにひどいものだったといえます。なぜなら、この時、イラクに侵攻するためのアメリカの集団的自衛権の行使に対し、国連安保理の決議は出なかったからです。つまりイラク戦争は、(略)アメリカのエゴ丸出しの戦争だったのです。(p.62)
しかも、アメリカが戦争の根拠とした、「イラクが保有しているはずの大量破壊兵器の存在」は、ブッシュ政権の捏造だったことはアメリカ自身の調査、そしてメディアによって、後に明らかにされるのです。おまけに、サダム・フセインがアルカイダを支援していた証拠も見つかりませんでした。(p.62)
アメリカ同時多発テロの時、世界貿易センタービルの倒壊で亡くなったのは約2700人。対して、アフガンとイラクに派遣されたことで亡くなったアメリカ兵は6000人超。そして、アフガン戦争で、1万9269人もの民間人が亡くなり、イラク戦争開始後の3年で巻き込まれて亡くなった民間人の数は15万1000人……。

皆さんは、アメリカ同時多発テロの後に大きく報道された「Show the flag」という言葉を覚えているでしょうか。同時多発テロ直後、アーミテージ米国務副長官が日本政府に対して協力を求めた言葉として広く報じられ、実際に、日本がインド洋に自衛隊を派遣する大きな原動力になりました。しかし悲しいかな、日本はこの言葉を、またしても勘違いして受け取ってしまっていたことが分かったのです。(p.79)
というのも、日本はこの時、「Show the flag」を文字通り「イラクに日本の(自衛隊の)旗を見せろ」という意味で受け取っていました。ところが、(略)アーミテージは、「旗幟を鮮明にしろ」――日本がどちらにつくかはっきりしなさい――と言っただけで、「自衛隊をイラクに派遣しろ」と言ったわけではなかったのです。(p.80)
ここに、自衛隊を海外に派遣するための口実である「湾岸戦争のトラウマ」に、「Show the flag」という口実が加わったのです。(p.80)
4.安倍内閣が集団的自衛権行使容認を欲する理由も、湾岸戦争のトラウマ、ショーザフラッグと同じ系譜
なぜ安倍内閣は、ここまで集団的自衛権の行使容認を欲するのか?

安倍首相は、「集団的自衛権の行使を容認しないと、有事の際に、アメリカが助けてくれなくなって困る」と言っているのです。(p.104)
閣議決定まで終わった「集団的自衛権の行使を容認する理由」がそれである証拠として、安保法制懇のメンバーの一人で、(略)元外務官僚の岡崎久彦さんの言葉を引用しましょう。彼は、2014年5月19日に、ハフィントンポストに掲載されたインタビューの中で、(略)次のように答えています。

「もう東アジアの安全保障というのがね、日中関係、米中関係なんてものはないです。中国対日米同盟、このバランスで全部考えなきゃいけない、共同で行動することを考えないかぎり、日本の安全は今考えられない。日本一人でもアメリカ一人でも守れないもん。アメリカ一人で守れと言ったらアメリカ引きますよ、だって勝てないもん。一番の問題は、日米同盟が危険にさらされた時ですよね、アメリカだけ、アメリカの第7艦隊がやられていて、日本が助けにいかなかったら、アメリカもう(同盟)やめたと、そうなる可能性はありますね、それが一番怖いですね。」 (p.104)
そして伊勢崎氏は、安保法制懇の第1回目の報告書に、「集団的自衛権の行使が必要な理由」として、岡崎さんがハフィントンポストに答えた内容と、ほぼ同じことが書かれていることを、本書の102ページに記している。

問題は、安倍内閣が「集団的自衛権の行使容認」に動いている理由が、「湾岸戦争のトラウマ」と、まったく同じ系譜にあるものだということです。「湾岸戦争のトラウマ」が、日本の外務官僚の勘違いによってもたらされたものであったことは、すでにお話した通りです。 p.105
5.アメリカは日本に自衛隊の派遣を求めていない?
では本当にアメリカは、日本の集団的自衛権の行使容認を欲しているのか?

日米関係を語るとき、よく「日本(が出すの)は金だけでいいのか」という議論になり、日本人に肩身の狭い思いをさせています。しかし、戦争を始めるのにも終わらせるためにもお金が必要であるという状況の中で、日本がこれまで、アメリカの戦争に莫大な貢献をしてきたことを、日本人はもっと自覚するべきです。(p.119)
また、「思いやり予算」こと、日本が負担する在日米軍駐留経費のことも忘れてはいけません。沖縄から飛び立った海兵隊が、イランやアフガニスタンに赴いているのです。(p.119)
さらに、世界の約5分の1を担当する世界最大の艦隊・米海軍第七艦隊が、事実上横須賀と佐世保を母港としているのをはじめ、在日米軍基地の担当範囲は非常に広く、アメリカが関与する紛争多発地帯をほぼ包括しています。さらに燃料や爆弾の貯蔵においても、日本は海外最大の保管庫になっています。(p.119)
だから、アメリカから日米同盟を解消することは、アメリカから日本を見はなすことは、特に中国の存在が、地球を良い意味でも悪い意味でも支配する現在、そして近未来において、絶対にありえません。(p.120)
ではなぜ、アメリカが日本に自衛隊を出すよう圧力をかけてきているように見えるのか?

選挙で有利に戦うための短期的な「利害」にしか興味のない政治家は、日本の専売特許ではありません。もちろんアメリカの政局をも支配しているものです。こういうアメリカの政治家にとって、自分で勝手に「湾岸戦争のトラウマ」を背負いこんでいる日本人は、たいへん好都合なのです。なにせ、これをちょっと耳元で囁くだけで、日本人は簡単に震え上がってくれて、それだけで、お金をATMのように引き出せるようになるのですから。(p.123)
今回の集団的自衛権行使容認騒動は、日本側の叶わぬ片思いのようなものです。恋い焦がれるあまり、アメリカが欲していないものでも何でも貢ごうとする……。なんとも切なくなる話です。(p.122)
6.集団的自衛権の行使によって失われかねない「日本の美しい誤解」の存在について
アフガニスタンにおいて実感した話です。(略)アフガニスタンの場合、(略)主要な占領政策はNATO加盟国を中心に分担して行うことになりました。新しい国軍はアメリカ、警察はドイツ、日本は非NATO加盟国ですが、武装解除の責任を負うことになりました。(p.127)
アメリカもNATOも手を焼いて何もできずにいた軍閥間の戦闘に非武装で入り込んで行き停戦させ、スローではあるものの重火器の引き渡しを着実に実現してゆく私たち(日本;構成者注)に対し、いつしかアメリカ軍の関係者たちは「日本は美しく誤解されている」と言うようになったんです。(p.128)
アフガニスタンの軍閥は、冷戦時代から大国のエゴの真っただ中にいた連中です。アメリカを基本的に信用していません。しかし日本は、アメリカから独立しているものと思われていたのです。それは誤解もいいところなのですが、私たち日本には、アフガンの軍閥たちに見られる足元自体がなかったのです。「日本に言われちゃしょうがない」――。あの時、軍閥やその配下の司令官たちは、我々が武装解除に向かった先々で、例外なくこう言い、武装解除に従いました。(p.129)
また、私たちの活動とは別に、イラクでは、日本の自衛隊が(基地にロケット弾が着弾しながらも)銃撃戦を一度も経験せずに任務を完了しました。なぜこれが可能だったかと言えば、地元のイスラム指導者が、「自衛隊を攻撃することは反イスラム」であるというおふれを出したからです。日本は、イスラム圏において、それほどまでに良いイメージを持たれていたのです。(p.131)
なぜか? そのルーツの一つは、日露戦争にあるようです。私もよくアフガンの軍閥に言われたものです。「ジャパンはスゲーよな。俺らも勝ったけど」と。また、アメリカにヒドイ目に遭わされた経験があるイスラムの民は、日本に「勇敢な被害者」という印象を持つようです。日本は経済大国でありながら、彼らの痛みが分かる唯一の国だと、彼らは考えているようです。(p.132)
……そんな日本のすばらしい国際的なパブリックイメージ(美しい誤解)が、今回の集団的自衛権の行使容認を契機として、失われてしまう危険性があると伊勢崎氏は指摘する。それはあまりにもったいないことだと。

7.自衛隊は“今”すでに、海外で人を殺さなければいけない一歩手前にまで追い込まれている
集団的自衛権の行使容認によって、国際的に、日本が苦しい立場に追い込まれかねない現状の中、今回の集団的自衛権の行使容認論議の中には、マスコミにも忘れられている重要な論点が存在しているという。

日本の報道では、集団的自衛権の行使容認の話ばかりにスポットライトが当てられていますが、決して見逃してはいけないことがもう一つあります。それは、安保法制懇の提言のなかには、「集団的自衛権の行使容認」の他に、「国連的措置(集団安全保障;構成者注)であるPKOの活動の幅を、これまで行っていた後方支援活動から、海外での軍事的行動を含む本体業務にまで広げるべき」ということも含まれているということです。(p.86)
日本では、PKOの活動は安全というイメージが流布されているが……、

もちろん、「日本はPKOに派遣している自衛隊が危機に陥ったら、兵を引くだろう」という見立てもあるでしょう。しかし、残念ながら、その甘い見立てが、いままさに自衛隊を危機へと追い込んでいるということも、ここで指摘しておかなければなりません。(p.235)
陸上自衛隊がPKO要員として、2012年1月から派遣されている南スーダンにおいてのことです。(略)2013年12月、南スーダン政府軍に対して反政府軍がクーデターを起こしました。(略)陸上自衛隊が駐屯している首都ジュバでの武力衝突に発展。(略)今、南スーダンは、第二のルワンダ化が心配される世界で最も危険な地域の一つになっているのです。(p.235)
……そして、2013年12月のある日の朝、自衛隊は、宿営地に隣接する国連施設のゲート付近に、数千人規模の避難民が集まり始め、昼過ぎに、開門して避難民を国連の施設に収容するという事態を実際に経験した。

ここで問題なのは、(略)「武装集団は、避難する一般市民に紛れて行動する可能性もある」ということです。もしも、保護を求めて自衛隊の基地に流れ込んできた住民のなかに、武装集団が紛れ込んでいたら? それを追って敵対勢力の武装集団が、熱狂状態にある群衆に紛れて迫ってきたら? 自衛隊はどういう立場におかれるのでしょうか。もはやその不安は、遅きに失していると言っていいでしょう。(p.239)
今回の閣議決定では、当然のごとく、「国際協調に基づく『積極的平和主義』の立場から、国際社会の平和と安全のために、自衛隊が幅広い活動で十分に役割を果たすことができるようにすることが必要である」とされました。しかし、ほとんどの国民がその危険性を知らず、マスコミも易々と見逃してしまい、誰一人として気づかないというお粗末な状況でした。日本は、将来でなく、今現在の時点でも、無辜の民間人と区別のつかない「敵」を殺さざるを得ない状態にあり、帰ることもできないでいるのです。(p.240)
それゆえ伊勢崎氏は、「現状のPKO活動からの自衛隊の全面撤退」を説く。なぜなら、PKOの活動も、日本側の勝手な思い込みで、日本が世界に貢ぎ倒しているだけなのだから……。

今現在、国連のPKO部隊(PKF)に大勢の兵を送り込むのは実は、国連加盟国の中でも、発展途上国の仕事になっているからです。これは、国連のPKFに部隊を送ると、国連からお金をもらえるため、発展途上国にとってはいい外貨稼ぎの場になっているからです。つまり、PKFに派遣される兵士の人数は足りているため、もう日本は、PKF関連の仕事に兵(自衛隊)を送る事業から卒業していいのです(実際、私は、ここまで大隊レベルの大きな部隊派遣にこだわる“先進国”を他に知りません)。(p.169)
あなたはこの事実を知っていただろうか?

8.日本は世界に残された最後の希望
PKOから自衛隊が撤退したら、もう日本は国際貢献できないではないかと思う方もいるかもしれない。しかし、現状のPKO活動よりも、もっと、真の意味で、日本が世界の平和に資することのできる自衛隊の活動(日本独自の貢献の方法)が存在している。

日本独自の貢献の方法――しかもそれがアメリカの国益にもなるもの――とは何なのでしょうか? そのヒントは、COIN(アメリカ陸軍・海兵隊のフィールドマニュアル:Counter-Insurgency)にあります。これは、イラク戦の米最高司令官だったペテロイアス 将軍(略)が、(略)2006年に、それまでの米軍の戦略ドクトリン(教義)を方向転換させたものです。(略)COINとは「対テロ戦マニュアル」のことなのです。(p.132)
なぜアメリカの圧倒的な軍事行動をもってしても、軍事力ではとるに足りないテロリストに勝てないのか? その理由の一つは、テロリストの側に、我々にはない圧倒的なまでの「非対称な怒り」が存在していることです。(略)我々を迎えるあちら側は、我々を傍若無人な侵略者(特に、イスラム教徒にとっての異教徒)であると見なしています。我々が黙ってそこに立っているだけで、彼ら個人個人とその集団を貫くのは、彼らのアイデンティティを賭けた怒りです。しかもそれは、我々の攻撃による同胞や家族の犠牲によって増幅し続けるのです。この「非対称な怒りの増幅」こそが、テロとの戦いに終わりがない所以です。そこで生み出されたのがCOINだったのです。(p.133)
COINが訴えかけるのは、「Winning the War : ウィニング・ザ・ウォー(敵を軍事的にやっつける)」ではなく、「Winning the People : ウィニング・ザ・ピープル(人心掌握戦に勝つ)」です。そのためには、(略)優良な国軍と警察を擁し、ちゃんとした「沙汰」を提供し、「秩序」を保つことのできる――すなわちinsurgents(テロリスト達;構成者注)が入り込んでくる隙間のない――現地政府をつくるしかないのです。(略)これは、“ネーション”(国家)という概念が存在しなかった無法地帯に、それをつくるという作業なのです。(p.136)
“ネーション”づくり。アメリカは、イラクにおいて失敗し、続くアフガニスタンでも失敗しています。(略)しかしこれは、失敗というより、まだ成果をあげていないと言わなければならないものです。なぜなら、COINに代わるドクトリンはまだ出現しておらず、恐らくこれ以上の方法は、将来に渡って出現しないだろうからです。(p.138)
2014年末の軍事的勝利なき撤退を前にして、アメリカやNATOでは、COINのこれからを占う専門的な議論が盛んになりつつあります。しかし実は、2006年にCOINをまとめるヒントとなったのは、日本がアフガニスタンで成功させた武装解除だったのです。COIN制定の前、アフガニスタンのアメリカ軍関係者の間でよく言われていたのは、「アフガンの成功をイラクへ」でした。その「アフガンの成功」とは、私たち日本の武装解除の成功のことだったのです。(略)日本が非武装で行った武装解除の成功がこそが、当時、アフガンに“ネーション”を建設する一縷の希望になっていました。日本が非武装で行った武装解除の成功が、ペテロイアス将軍の作ったCOINの元になったものなのです。(p.138)
アメリカ軍の増派といい、アフガン新国軍の計画兵力といい、オバマ大統領の「戦争計画」が迷走するなか、NATOは首脳会議において、今年2014年の末までに、アフガンに展開しているNATOの治安部隊13万人の大半を撤退させる方針を示している。つまり、この2014年は、NATOが、史上初めて、軍事的勝利のないままに戦争に区切りをつける歴史的な年になる。
2014年度末のNATO軍の撤退は、アフガンに「力の空白」をもたらし、再度勃興しつつあるタリバンに、おおいに有利に働くだろう。これが、OEF(不朽の自由作戦)という名の集団的自衛権の行使によって、アメリカ軍兵士に、1万9984人の負傷者と、2343人の死者を出した後の結果なのである。

これが、アメリカが今、そして、これからも苦しみ続けるであろう「集団的自衛権の行使」の実態です。今年2014年に、NATOは一応の区切りをつけますが、それは、単に経済的・政治的に(厭戦ムードが支配する)この戦争を維持できないからです。そして、「安倍政権の集団的自衛権」は、アメリカが陥っている現在のこの状況に、何の関心も払っていないのです! こんなことで、「アメリカの最も重要な友人」などと、よく言えるものだと、私は内心思っています。(p.139)
では、アメリカの国益になりながら、同時に日本が世界に貢献できる最上の方法とは何か? それは、(略)今こそ、日本版COIN――すなわち、非武装が原則だからこそできる「ジャパンCOIN」――を引っさげ、世界に“参戦”することです。(略)それが、真の世界貢献と(アメリカからの;構成者注)主体性獲得への第一歩になります。(p.140)
そのためには、安倍政権の言う「集団的自衛権の行使」など、一切必要なものではありません。(p.140)
日本はアフガンにおいて、内政干渉だと反発されることなく行政改革を行い、民衆に信頼される“ネーション”を打ち立てることができるはずです。それは、アメリカを中心に、西洋社会がおしなべて苦手としていることです。(p.140)
では、日本の「美しい誤解」を損なうことなく、集団的自衛権の行使容認も必要なく、非武装を原則として、真の世界平和と、アメリカの国益にも叶い、日本が真の主体性を取り戻すことのできる「ジャパンCOIN」、「非武装の自衛隊による真の世界貢献」とは何か――。

小さな政治ミッションでしかなかったアフガニスタンのUNAMA(国連アフガニスタン支援団)のマンデート(任務)を“少し”拡大し、「国連軍事監視団」を設け、アフガニスタンとパキスタン国境上の監視役として、NATOの代わりに、常駐させることだと考えています。(p.146)
このような国連軍事監視団の任務は、中立性を発揮しなければ両者の信頼を損なうため、紛争当事者国に利害関係のない国の要員が向いています。そして、同じ理由から、非武装で行うことが原則です。(p.146)
だから私は、この任務に、日本が手を挙げるべきだと考えているのです。ここにこそ、日本が「武力を使わない集団的自衛権の行使」――ジャパンCOIN――を実行する、大きな余地が生じていると考えています。(p.146)
国連軍事監視団は、伝統的に「安保理の眼」とも言われ、国連の本体業務中の本体業務です。大尉以上の軍人が多国籍のチームを作り信頼醸成にあたる、非常に名誉ある任務です。その任務に、日本が手を挙げるのです。これは、国際社会・アメリカに対し、日本が持ちうる「強み」と「補完性」を最高の形で発揮できる方法であると同時に、真の積極的平和主義の先駆けとなるための、極めて現実的な方法です。(p.146)
しかもそれは、国連的措置に関する任務であるため、日本の美しい誤解を損なう集団的自衛権の行使容認を行う必要はありません。さらに非武装で行う任務なので、憲法9条の問題においても、一切揉める必要がないものなのです。 (p.147)
こんなにいい方法があるのに、伊勢崎氏以外に、ほとんどこのような話をしていないのはなぜか? それは、政治家も含めた日本人が、海外情勢、戦場のリアルな動静に徹底的に疎いからであろう。その結果、日本は、伊勢崎さんが「日本側の叶わぬ片想いのようなもの」と表現するようなこと(湾岸戦争、イラク戦争への自衛隊派遣と集団的自衛権の行使容認)を、必要もないのにアメリカに貢ぎ続けてきたのである。しかもそれは、結果的に日本の国益を損なうものであり、ほとんど国際貢献にもなっていない、最悪の本末転倒だった……。

今こそすべての日本人が、国際情勢のリアルについて学びなおすべき時だろう。手遅れになる前に。

「日本にこれができなかったら、世界から希望の光が消えてしまう――」

伊勢崎氏は、本書で、そう訴えかけている。

サムネイル「南スーダン R 国際平和協力活動等(及び防衛協力等) 50」

日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門 (朝日新書)
著者/訳者:伊勢崎 賢治
出版社:朝日新聞出版( 2014-10-10 )
定価:¥ 842
Amazon価格:¥ 842
新書 ( 256 ページ )
ISBN-10 : 4022735856
ISBN-13 : 9784022735850

 伊勢崎賢治(いせざき・けんじ)
国際政治

1957年東京都生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。東京外国語大学大学院「平和構築・紛争予防講座」担当教授。国際NGOでスラムの住民運動を組織した後、アフリカで開発援助に携わる。国連PKO上級幹部として東ティモール、シエラレオネの、日本政府特別代表としてアフガニスタンの武装解除を指揮。著書に『インドスラム・レポート』(明石書店)、『東チモール県知事日記』(藤原書店)、『武装解除』(講談社現代新書)、『伊勢崎賢治の平和構築ゼミ』(大月書店)、『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』(かもがわ出版)、『紛争屋の外交論』(NHK出版新書)など。新刊に『「国防軍」 私の懸念』(かもがわ出版、柳澤協二、小池清彦との共著)

2015年7月20日月曜日

明日読む(備忘として。 今日は寝ます!

気になるブログ記事から
http://blog.goo.ne.jp/slcxt1192/e/3d27a9d4114a4d15fec940f1bcdf1a3f

http://blog.goo.ne.jp/slcxt1192/e/2b45088c74e4bad91e2cb1ef212dc179

安全保障第109号(新年号)
武器使用権限の見直しについて
     (国益追求のために一歩を踏み出せ)―
常務理事 (元東部方面総監)  菅 博敏
http://www.kokuboukyoukai.jp/books-109-3.html

希典のひとりごとのブログ
駆けつけ警護だけでは不充分
http://s.webry.info/sp/hiroaki1959.at.webry.info/index.html

朝日新聞
(集団的自衛権 読み解く)首相の狙い:下 
PKO武器使用、緩和にらむ
http://www.asahi.com/articles/DA3S11144714.html


いとう渉2015年07月19日
08:36平和安全法制に対する世界各国の反応
http://blogos.com/article/123501/

2015年7月16日木曜日

朝日新聞 イラク派遣の陸自、戦闘状態を想定 内部文書で判明 2015年7月16日05時12分

http://www.asahi.com/articles/ASH7H73XNH7HUTFK01M.html


イラク派遣の陸自、戦闘状態を想定 内部文書で判明
イラクに派遣された陸上自衛隊の活動(2004~06年)を記録した内部文書が15日、明らかになった。自衛隊は「非戦闘地域」で活動すると特別措置法で定めていたが、現場では指揮官が「危ないと思ったら撃て」と指導するなど、戦闘状態を想定していたことがわかった。
文書は陸上幕僚監部が陸自撤収後の08年に作成した「イラク復興支援活動行動史」。安全保障関連法案を審議した衆院特別委員会で、野党が防衛省に開示を求めた。同省が15日、野党の一部委員に開示した。
行動史のなかで「武器使用に関する部隊長の意識」の項目では「最終的には『危ないと思ったら撃て』との指導をした指揮官が多かった」と記録。第1次復興支援群長を務めた番匠幸一郎氏(現・西部方面総監)は「イラク人道復興支援活動は、純然たる軍事作戦であった」とした。
自衛隊の宿営地への迫撃砲やロケット弾による攻撃が「10回以上発生した」と記録。04年10月31日には「ロケット弾は駐屯地内の地面に衝突した後、鉄製の荷物用コンテナを貫通して土囊(どのう)にあたり宿営地外に抜けており、一つ間違えば甚大な被害に結びついた可能性もあった」としている。
(朝日新聞デジタル 2015/07/16 05:12)

産経 2015.5.11 22:00 安保法案、与党最終合意 高村氏、野党との修正協議示唆

(前略)
他国軍への後方支援は、日本の平和に関係するケースについては周辺事態法を改正した「重要影響事態法案」で対応し、国際平和に関係する場合は新法の「国際平和支援法案」を根拠に自衛隊を派遣する。いずれも地理的制約はなく支援の対象やメニューも広げる。

 国連平和維持活動(PKO)協力法を改正し、武器使用権限を拡大するほか、PKO以外の人道復興支援活動などにも参加できるようにする。グレーゾーン事態での他国軍防護や、在外邦人の救出活動も自衛隊法改正で行うことを目指す。
安保法案与党合意 自衛隊の役割大きく前進も残る制約 武器使用に「日本ルール」

安保法制与党協議会後の会見で記者の質問に答える自民党の高村正彦副総裁(手前)。奥は公明党の北側一雄副代表=11日午後、衆院第2議員会館(酒巻俊介撮影)
 11日に与党協議会で最終合意された安全保障関連法案は、集団的自衛権の行使容認など自衛隊の役割を大きく前進させる内容だ。だが、憲法9条をめぐる従来の政府解釈との整合性を確保することが前提だったため、自衛隊の行動を制約する日本独自の枠組みは残った。一部野党は「戦争法案」と批判を強めているが、諸外国の水準と比べれば安保法制が整備されても厳しい法的制約が課せられていることに変わりはない。

 「集団的自衛権の限定的行使の意味が米国人には分からない。過剰に期待されるのも困る…」

 最近訪米した与党協議会の自民党側出席者は11日、こう不安を吐露した。

 国際法上、集団的自衛権は密接な関係にある国が攻撃された場合に自国への攻撃とみなし、共同して反撃する権利を意味する。

 しかし、昨年7月の閣議決定では密接な国が攻撃されても即座に反撃に加わることを許していない。他国への攻撃が日本の「存立危機事態」に当たると認定された場合に限り行使できる。このような集団的自衛権の考え方は日本以外に採用している国はなく、政府内では「なんちゃって集団的自衛権だ」という自嘲の声すらある。
個別的、集団的自衛権が行使できない状況では、自衛隊は全面的な組織戦を意味する「武力行使」をすることはできない。有事に至らない「グレーゾーン事態」などで認められるのは自らを守るためなどの「武器使用」に限られている。武力行使と武器使用は双方とも英語で「USE OF FORCE」と表現する。両者の区別は、日本でしか通用しない。

 安保関連法案が成立すれば「武器等防護」を定めた自衛隊法95条を改正し、グレーゾーン事態で米軍やオーストラリア軍を防護することが可能となる。しかし、ここで自衛隊が行えるのは必要最小限の武器使用に限られている。

 米軍の部隊はグレーゾーン事態でも、全面的な武器使用(=武力行使)が認められており、防衛省幹部は「難しいのは法案が成立してからだ。自衛隊の部隊行動基準(ROE)を作成し、米軍との共同訓練を積み重ねて齟齬(そご)を来さないようにしなければならない」と話す。

ただ、国連平和維持活動(PKO)や、欧州連合(EU)などが主導する人道復興支援活動では、任務遂行型の武器使用ができるようになる。これまでは、自衛官や自衛隊の管理下にある国連職員らを守ることに限った自己保存型の武器使用しかできなかったが、任務遂行型も認められることで治安維持任務に就くことも可能となる。

 一方で、日本や国際社会の平和のために戦う他国軍を後方支援する場合、自衛権が発動されているケースを除き、任務遂行型の武器使用は引き続き認められない。他国軍の武力行使と一体化すれば集団的自衛権の行使に当たる可能性があるためだ。この「武力行使との一体化」も戦後日本が憲法9条の下で生み出した独自の概念だ。

 武力行使との一体化を避けるため、従来は自衛隊が活動を開始してから撤退するまでの全期間を通じて「戦闘行為がない」ことが確保されていなければならなかった。新たな安保法制では「現に戦闘行為が行われていない現場」であれば後方支援や人道復興支援ができるようになる。

 とはいえ、近くで戦闘行為が始まれば他国軍を見捨てて撤退するというケースもあり得る。自衛隊内には「こうした日本の特殊事情を他国の政府や軍に理解してもらうことは容易ではない」(幹部)との声も漏れる。(杉本康士)

2015.6.29 18:58 【産経新聞・FNN合同世論調査】 安保法制の「支持」には時間かかる PKO協力法なども徐々に理解広がる

安保法制の「支持」には時間かかる PKO協力法なども徐々に理解広がる

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 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が27、28両日に実施した合同世論調査では、集団的自衛権の行使を限定容認する安保関連法案について、今国会で成立させることに6割近い有権者が反対し、賛成を大きく上回った。前回調査(5月23、24両日実施)でも反対(57・7%)が賛成(31・7%)を上回っており、安保関連法案に対する国民の理解が進んでいない状況が続いている。

 ただ、自衛隊の海外活動をめぐり、平成4年6月に成立した国連平和維持活動(PKO)協力法に関するマスコミや政府の世論調査では、成立前は反対論が際立っていたものの、成立後に徐々に理解が進んでいく様子が伺える。

 例えば、成立直後の日経新聞の調査ではPKO法に賛成は35・8%、反対は45・9%。反対が賛成を約10ポイント上回ったが、宮沢喜一内閣(当時)の支持率は31・9%で、成立直前と比べて1・7ポイント増えていた。

 また、成立前年の3年11月の朝日新聞の調査では、国連平和維持軍への自衛隊参加について、賛成が33%、反対は58%で圧倒的に反対世論が強かった。ところが、成立直後の7月には法成立について「よかった」が36%、「よくなかった」は36%と拮抗(きっこう)した。法案審議を通じて理解が広がったとみられる。

 一方、内閣府(旧総理府)が法施行の2年後の6年から毎年実施しているPKO参加に関する世論調査では、「これまで程度の参加を続けるべきだ」との回答が当初は43・4%(6年)だったが、20年後は55・5%(26年)に達し、10ポイント以上も増加。「参加すべきでない」との回答は、8・6%から1・7%まで漸減した。実際の自衛隊のPKO活動を知った国民の理解が徐々に広がっている。

2015年7月15日水曜日

PKOじゃないけど、参考になりそうな自衛艦のリスク

ウィキペディア「自衛隊イラク派遣」より

死者・負傷者[編集]
社民党の照屋寛徳議員が国会において、インド洋やイラクなどへの派遣任務に就いた自衛官の中に、自殺等による死者が多数に上っている点を問題視して、質問を行なったのに対して、延べ約1万9700人の自衛隊員のうち、16人が在職中に自殺していたことが、政府が閣議決定した2007年11月13日の答弁書で明らかにされている。在職中の死亡者は計35人で、内訳は海自20人、陸自14人、空自1人とし、そのうち自殺者は、海自が8人、陸自が7人、空自が1人で、それ以外は病死が、計7人、事故死・死因不明が、計12人となっている[27]。だが、2万人近い自衛官が一度に派遣されて、そして一度に戻った上で直後に16人が自殺したというわけではなく、それぞれ数十人あるいは数百人ごとに代わる代わる交代して任務を行っている。この答弁書が作成されるまでの間に、派遣任務という因子以外にも数多くの因子が付加されてしまっている。その為、派遣任務が即自殺に繋がったわけではないが、海上自衛隊だけを取って見ても厚生労働省が発表した10万人当たりの自殺者数よりも多く自殺者が出てしまっている。今後、自衛隊内における精神面のカウンセリング体制の整備が求められている。
イラク特措法に基づき派遣された隊員のうち在職中に死亡した自衛隊員数(2007年10月末現在)
陸上自衛隊 14人(うち自殺7人、病死1人、死因が事故又は不明6人)
海上自衛隊 20人(うち自殺8人、病死6人、死因が事故又は不明6人)
航空自衛隊 1人(うち自殺1人)
2007年11月13日防衛省発表
2014年4月16日現在の自衛隊イラク派遣後の自殺者合計が28名と放送される[28]。内訳は陸自20名、空自8名。[29]
イラク派遣の自衛隊の負傷者は21名。[30]  

答弁書については
http://www.ikenkoukoku.jp/iken8/ugoki/ugoki_new_kiji_7.htm
および
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b168182.htm

を参照。自殺者については
2014年4月16日19時30分NHK総合放送クローズアップ現代~イラク派遣10年の真実
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3485_all.html

からなのか?ただ、この自殺案件については誤報訂正機構からもいろいろ出てる
のでデータの裏取りはちゃんとして使うべきかと思います。
http://gohoo.org/15062501/

ただ、危険な任務であることは間違いないですし、
現状でもリスクはあったわけで、
そのリスクが現状維持なのか原則を緩和すれば自衛隊員が攻撃されるリスクが
軽減するかどうかは議論の俎上に上がるのではないか、と思いますが。


PKO、お金の話。(多分続編あるだろうけどとりあえず、号

http://www.un.org/en/peacekeeping/operations/financing.shtml

UNが出してる英文。
How much does peacekeeping cost?
The approved budget for UN Peacekeeping operations for the fiscal year 1 July 2014-30 June 2015 is about $7.06 billion [A/C.5/69/17 PDF Document].
By way of comparison, this is less than half of one per cent of world military expenditures (estimated at $1,747 billion in 2013).

→UNは何か言いたげな表現ですけど。この表現はどっかで使えそう。

The top 10 providers of assessed contributions to United Nations Peacekeeping operations in 2013-2015 [A/67/224/Add.1]  PDF Document are:

United States (28.38%)
Japan (10.83%)
France (7.22%)
Germany (7.14%)
United Kingdom (6.68%)
China (6.64%)
Italy (4.45%)
Russian Federation (3.15%)
Canada (2.98%)
Spain (2.97%)

となると、単純にかけ算すると日本の拠出金って
7060000000*10.86%だと思うんですが、

外務省のデータだとhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/peace_b/genba/gaiyo.html
PKO分担率及びPKO分担金額(各暦年中に国連から支払要請を受けたもの)
分担率分担金額
2011年12.530%10億7,610万ドル
2010年12.530%12億590万ドル
2009年16.624%9億5,280万ドル
なので、まぁ、妥当なところだと思いますが。
億ドルって、円換算すべきなのかしら。レートでもだいぶ印象変わる
気がしますけどねぇ。

ただ、パーセントで数字だすと実数を質疑で聞かれて、答えられずにvague!って言われちゃうと思うんで、こういう数字を丹念に拾っておくことって大事だと思ったので取り上げてみました。

追加
ハイチにおける自衛隊のPKO活動に係る経費について(防衛省
http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/seisakukaigi/pdf/13/1-4.pdf

○ 隊員の手当等に要する経費 〔約10.2億円〕 ○ 隊員の生活、移動等に要する経費 〔約23.2億円〕 ・庁費(通訳、分遣班の滞在費等) ・営舎費(営舎用の消耗品等) ・糧食費(隊員の糧食) ・通信専用料(国際通信の回線使用料) ・油購入費(燃料) ・運搬費(人員・装備等の輸送) など ○ 装備品等の購入、維持・管理等に要する経費 〔約11.0億円〕 ・諸器材購入費(天幕等) ・通信維持費(国際通信器材の借料等) ・航空機修理費(機体整備) など 合 計 : 約44.4億円 ※平成22年11月30日までに対応する経費

ハイチ以外にも一覧で出ていましたね。
http://www.mod.go.jp/j/approach/kokusai_heiwa/list.html

7月16日追記

PKOの1兆円予算承認 国連総会、日本11%負担

http://www.sankei.com/world/news/150626/wor1506260020-n1.html
  •  
     国連総会(193カ国)本会議は25日、来月から1年間の国連平和維持活動(PKO)の来期予算案を承認した。総額は約82億7千万ドル(約1兆200億円)で、史上最高額となった今期をわずかに下回ったが、巨額予算水準が続くことになる。
     日本は米国に次ぐ2番目のPKO予算貢献国で、約11%を負担する。PKOは最近、アフリカへの新規派遣が相次ぐ一方、既存のPKOの大半は派遣先での事態改善が見られず、撤収のめどが立っていないのが現状だ。(共同)

    2015年7月6日月曜日

    クロッシング ウォー・・・

    クロッシング・ウォー 決断の瞬間(とき) (2014)


    昨晩は妻と二人で遅めの誕生日ディナーをしました。
    多治見市にあるリソレッタというイタリアンレストランでした。
    Tボーンステーキやモッツァレラチーズのピザを食べて大満足
    でした。

    その時店のモニターで流れていたのが表題の映画。
    Wowwowシネマだったので後でタイトルを調べました。

    アフガニスタンPKOに参加したドイツ兵小隊の話でした。
    例のISAFの話です。おそらく、いろいろなチームでも、
    この話は準備しておられるかと思います。

    http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-04/2015060401_01_1.html


    映画ですし、ノンフィクションではないので事実ではない
    のだと思いますが、ISAFの結果は皆様もご存知の通りなのですが、
    できればPKO論議が本格化する前でも、この全国大会が終わってから
    でもいいのでこの映画食みて欲しいなぁ、と思うのです。

    理由は、、、そうですね。
    ディベートはゲームです。英語ディベートは英語での議論の能力を
    引き上げるために行う活動の一つです。ですから「実情」を踏まえつつも
    机上の空論であったり、勝とうとするあまりに言いすぎちゃうことも
    あると思うのですが、議論を聞いてて気になるのは「時間と資金を与えれば
    実戦投入できる」という議論です。裏付けがない反論(または議論)
    なのでどの程度採用するかジャッジ次第なのですが、ディベートの試合
    とは別に、ちょっと問題かなぁ、と思うのです。実際、自衛隊の皆さんは
    この日本国土だったり、日本国民の安心や安全を守るために日夜訓練されてる
    わけですがそれは専守防衛であって本国を守るためというモチベーションの
    元に働いておられるわけで、国会が決議した海外での武力行使が本当に
    時間や資金をかけて訓練すれば可能なのだろうか?という疑問が常に
    ここの1、2ヶ月頭を離れないのです。

    大会や試合で勝たねばならぬためには強弁することも必要でしょうし、
    相手の議論を切り崩して持論をわずかにでも残しそこをアピールして
    肯定側は勝つ必要があるのもわかってはいるのですが、なーんだかなぁ・・・
    という疑問というかモヤモヤだけがグルグル回ってる所にこの映画を
    見たので余計に「もや」っと感が増幅した次第です。


    2015年7月2日木曜日

    ホルムズ海峡冬景色

    ホルムズ海峡「無知、ピンボケの質疑応答に唖然」元タンカー乗り、怒りの直言(上・下)
    木村正人 | 在英国際ジャーナリスト

    http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20150702-00047171/

    http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20150702-00047192/

    ホルムズ海峡やシーレーンというのは昨年の原発議論でも出てきたのでおそらくですが国際経済や国際政治を語る上では外せない論点になる場所なのだなぁ、、、とおもってこの数年過ごしています。

    この記事は是非読んでいただきたいなぁと思った次第です。


    1984〜88年のタンカー戦争についてはdragonerさんの解説が秀逸。
    http://bylines.news.yahoo.co.jp/dragoner/20150623-00046901/