2014年7月30日水曜日

英語ディベート資料 争点を考えてみる

 ここのところの講習会・練習試合では肯定側が論証しきれず、否定側の現状やアクチャルケースでボッコボコにやられる…、という試合が多かったのでちょっと肯定側応援キャンペーン。ただ、なぜそうなるのだろう?と考えてみたんですが、肯定側は「自分がベストと思う論点」をあげるのにたいして否定側には「後だしじゃんけんの権利」が存在します。そういう意味で、相性のいい論点がたまたま出たのか・・・。以上、渡部の近況・雑感でした。ということで本題に移ります。

ディベートではクラッシュする論点がジャッジに好まれる傾向にあるような気がします。あくまでジャッジをしてる経験、他のジャッジの先生方の観点を見ててそう感じている、ということであって否定側が積極的にクラッシュするようなDAを即興的に行うべき、という意味ではありません。

(とはいっても様々な想定の中で準備されてる先進校が、意図的にクラッシュして有利だと思うDAを選択的に選んでいる、または複数のADに対して有利になり得る論点を用意していることは、ありえるかと思いますが。)

 今回はここのところ気になるところをまとめてみました。今回の議論においては「原子力発電所の是非」ということが焦点になってて、渡部も見落としではあるんですが原子力発電を行えば必ず核廃棄物の問題は避けられません。福島原発にもその「その核の灰」が貯蔵されていました。

 現状、日本にある処理施設は六ヶ所村と東海村にある2施設。またフランスへの再処理外注を全て日本で行うことが可能なのか、または海外への委託もしながら国内施設も本格稼働するのか。色々な選択肢がありそうですが、論点は二つだと思います。原発と同じく、安全性とコストですね。

  1. 安全性については原発については昨今の基準で『安全だ』と言う声も「海外の第三世代基準に比べれば脆弱だ』という声もありますのでここは論証やアタックディフェン スの攻防で変化するでしょう。
  2. コストについてはプルサーマルについては再処理費用、最終処分では高レベル核廃棄物を安全に取り出し、固化し、埋設するサイクルの確立とそのコストについて論証も必要ですし、賛成側・否定側双方の追求が鍵になるでしょう。

論点を上げるだけにとどめ具体的な参考文献などは各自で当たってほしいと思いますが、「これをあげれば絶対勝てる」という黄門様の印籠のような論点・立論はあり得ませんので丹念に準備をしていただきたいと思います。


2014年7月26日土曜日

本日のディベート講習会@岐阜聖徳

渡部が一コマ担当することになってしまい・・
だらだらこうやって記事検索をするbot化した渡部に
解説など…(w

ということで、今日使う資料 URLまとめときます。

  1. 市民のための環境学ガイド(これ読んで基本的な考え方をインストールしましょう、主に否定側)
  2. 自然エネルギー政策研究所(肯定側)
  3. 新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた パブリックコメントの結果について (感情的な議論と建設的な議論、様々ですが。アタック対策になる?)
  4. アメリカで一生懸命議論してます エコノミスト
  5. 【ぼったくり】東電利益 家庭から9割【電力マフィア】(否定側の産業へのダメージ対策1)
  6. オンカロ関係①第三世代の安全基準?
  7. 安全基準肯定側としては反原発議連原発危険度ランキング(第2版)配点表
  8. オンカロ関係②オンカロって?
  9. データはs総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会
  10. 総括原価方式はメリットあり
  11. 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(Feed in Tariff、FIT)自然エネルギーバブル?
  12. あまりお勧めしない"a manner of speech"
  13. 周波数問題 爆笑問題ではない。
多分、こんなには話できないので、後は各自で読んでください。
(これで来れない人も大丈夫w)





2014年7月24日木曜日

英語ディベート資料 CO2議論に踏み込むなら・・・

多分、脱原発するとCO2増える、という話が出てくると思います。
ただ、CO2が増えたら温暖化するのか、(別の要因で)温暖化したからCO2
が増えたのか、それを論証するのはかなりの研究者によって意見が分かれてる
ように思います。

色々資料を探してみてみようと思ったのが今日の投稿です。
もし「おっ!」と思えるような資料や、今後のリサーチのとっかかり
になれば幸いです。

まずは安井至さんのHPから。
彼の生地はかなり良質なものですので、丹念に御読みになられると
環境学というものの奥深さを知ることができるのではないかと思います。
科学的思考の粋を凝らした環境学二興味を持ってくれる生徒さんが
増えたらなぁ、と思わずにはいられませんでした。ちょっと脇道にそれました。

ちょっと古いですが①IPCC第4次報告書 第3WG 05.19.2007から。

渡部自身がいろいろ脱原発本を読んでて思うのは、「どんだけCO2が増えたら
大気にどれぐらいCO2を増やすことになって、それによってなにがおきるのか」
ということを論証すべき(したらかなり強い議論?
ということなんでしょうね〜。となると、

温室効果ガスの推移

温室ガスインベントリ

とある書評の最後にはこのトピックを象徴する名言が。
これを紹介して今日は終わりたいと思います。
以下引用

別の人による評価が低いコメントがあるが、それは、「残念ながら、原発再稼働、電力システム改革等の重要な論点に対して、ポジションを張らずに、当たり障りのない一般論に終止している。現状の整理という意味ではよくまとまってはいるが、もう一歩踏み込んでほしかった」、である。

 これへの反論は次の通り。 電力の選択に関しては、ポジションを決めて議論するような問題ではない。むしろ、ポジションを決めた議論は無意味である。あらゆる可能性を評価しつつ、常に、最善な組合せへの移行が求められるので、ポジション自体を流動させざるを得ない。ポジション・レスの対応こそ、電力を正しく選択できる。なぜなら、3種類しかない一次エネルギー、すなわち、化石燃料、核燃料、自然エネルギーは、いずれも欠点だらけの問題児だからである。

 それにしても、福島第一原発事故以来、ポジションを先に決めた議論が多すぎる。新聞の最近の論調は、何ごとにつけても、まさにこれ。メディアを先頭として強くなったこの傾向は、憂慮すべきである。日本人が知性を失い始めている証拠なのではないだろうか。

引用終了
などなど、本当に、このブログは凄いです・・・、勉強になること
ばかりでした。ちょっと寝る時間なんでこれ以上は書きませんけど。
ま、固定客10名程度ぐらいしか見てないので別にいいんですけど。
ということでadios!

July 25th 2014追記
ご本人さんは【素人の会社員】とおっしゃっていますが、
素人だからこそ分かりやい部分というのは確実に存在すると
思います。この方の数字の追い方はディベートでも
使えるんじゃないでしょうか。
http://simplesite.cool.coocan.jp/snufkin/genpatsu/daian.html


2014年7月22日火曜日

英語ディベート資料 こういう現実もあるんだな、という感想。

発端は伊藤学さんのブログで発見した文言なんですが
http://d.hatena.ne.jp/nyango10/20100507/1273190019

福島原発の顛末を描いた「エフイチ」を読んだことは有ったんですが、シュラウドの交換の話は知りませんでした。

大分前に国会答弁でもやり取りされていることですから渡部の不勉強なのですが・・・http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b156048.htm

山谷と福島を結ぶ被曝労働問題への取り組みと下層労働運動の再生

かけはし2012.年7月23日号
廃炉・除染作業と労働者被ばく

『原子力資料情報室通信』第477号(2014/3/1)

福島第一原発収束作業の現場 すべての矛盾のしわ寄せが現場の労働者に

【隠される被曝「俺たちは使い捨て」+独ZDF動画:原発労働者インタビュー】被曝線量を公表しない(情報開示できない)くらい吉田所長の病状は深刻。被曝線量を隠すなんて通用しない。“プライバシーの問題”でフタをして済む話ではない。樋口健二氏12/1日刊ゲンダイ

などなど。
Uniquenessの問題はあろうかと思います。原発を廃止すればこういう作業をされる方々は必要になるわけです、いずれにしても。そういうものを作ってしまった、ということを忘れないために今日は取り上げさせていただきました。

ディベートの話になれば、肯定側としては、これ以上このような作業に携わる人を増やさないようにするためには必要、という言い方もできるでしょう。否定側の人たちからすればこういう人の仕事を奪うことになる、という論法もあり得そうです。色々考えさせられる論点でした。

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/3e1cdbda-ea6a-11e3-8dde-00144feabdc0.html#axzz389SoA800



2014年7月18日金曜日

英語ディベート資料 燃料コスト増の影響

否定側としては、原発停止☞原発が担っていた発電量を火力発電にシフト☞化石燃料は上昇トレンド☞コスト上昇☞価格転嫁 というシナリオだと思います。

証拠として出てくるのは経済産業省の白書とかだと思うんですけど、ぱっと見て分かりやすいのは総合資源エネルギー調査会総合部会電力需給検証小委員会(第三回)配布資料と、個人的には思うのでそちらで紹介。

第三回電力需給検証小委員会資料3 燃料コスト増の影響及びその対策について

これによると燃料費は5.9兆円(2011)☞7.1兆円(2012)
LNGの増加分は+1.2兆円☞1.4兆円、
石油 増加分は+1.2兆円☞1.9兆円。

意外と石油価格の上昇は顕著だけど、米国のシェールガスの影響もあるので、LNGの価格上昇は読みづらいところです。

July 24 2014追記
さっき、報道ステーションを見てたら【アベノミクスで燃料費増大】というフレーズが出て、あ、そうか。と思ってしまいました。そういう論点でUniquenessが無い、過度な円安誘導を止めれば燃料費はある程度圧縮出来るはずだ、という反論も充分可能な気がしました。

平 衆議院議員のブログではこんな分析をされています
http://t-taira.net/blog/2013/11/4-1.html
「4兆円近い国富が逃げる」は間違い2013年11月 5日 23:31
以下引用
「(脱原発で)4兆円近い国富が逃げる」と言う説があるが、東電の決算書を見ると火力の炊き増しによる燃料費増は50~60%で、残りの半分は円安と原油CIF価格の上昇が原因。安倍総理はアベノミクスも国富流出の原因だという点に留意されたい。
●すべてが火力の炊き増しのせいではない
「4兆円の国富流出論」が根強いので調べてみた。東電の2012年3月期(2011年度)決算を見ると、燃料費増加がそのまま原発ゼロの影響ではないと明記されている。3.11直前の2010年度の燃料費(1兆4,821億円)から次年度の2011年度の燃料費(約2兆2,869億円)へと約8千億円増加している。しかし、この8千億円がすべて原発の火力発電代替によるのではない。
●8千億円のうち5千億円が火力の影響
東電の2012年3月期の決算書によると、燃料費増8,000億円の構成を以下のように記している。
【消費面】
・電力需要の減       2,790億円
・原子力発電電力量の減  -5,060億円
・融通、他社受電の減など -1,850億円
【価格面】
・為替レートの円高化   1,070億円
・原油CIF価格の上昇など -5,000億円
要約すると、消費面では節電・省エネ等で使用電力が減ったので2,790億円の燃料費が減少し、また価格面では円高で円ベースの調達価格が安くなり1,070億円の燃料費が減少した。一方、消費面では原発を火力に代替にした炊き増し分で5,060億円が増加し、価格面では原油CIF価格の上昇で5,000億円増加した。以上により東電は、純粋に原発発電量の減少が原因となる燃料費増は全体8,000億円のうち5,060億円(つまり約6割)だとしている。
次年度の2013年3月期の決算書も同じだ。燃料費は2012年度から5,016億円増加しているが、そのうち3,090億円(約6割)が原発電力量の減少による影響と分析している。
●2010年度から2012年度の燃料費増は3兆4千億円
各電力会社から公表されている決算資料の収支比較表(個別)で各年度の燃料費がわかる。9電力の燃料費合計は2010年度が3兆6199億円、2012年度が7兆283億円。よって2010年度~2012年度で燃料費は3兆4千億円増加した。
●国富流出の半分はアベノミクス
重要なことは、2012年度の段階で、原発は大飯原発以外停止しており、ほぼ原発の発電量はない。(対2010年で約6%に減少)つまり、2013年度は原発代替の余地がないのだ。原発から火力に代替するシフトは2012年でほぼ終わっている。もうひとつ重要なことは、2013年度の当初からアベノミクスの1本目の矢である量的緩和がはじまり、一気に円安に誘導された。おそらくスポット分の燃料調達コストが急激に上昇したであろう。以上により、もし政府の予測通り2010年度から2013年度の燃料費増加が4兆円になるのだとしたら、2012年度までの増加3兆4千億円からのさらなる追加分である6千億円の多くの部分は円安による上昇であろう。以上を整理すると、2010年度~2012年度の燃料費増3兆4千億円のうち、火力炊き増しによる燃料費増は60%の2兆円。2010年度~2013年度は火力代替がさほど増えないので、燃料費増4兆のうち、引き続き2兆強が火力炊き増し分であり、残りの2兆弱がすべて円安と原油CIF価格の上昇によるものだろう予測する。つまり、国富流出の半分はアベノミクスに起因する。
引用終了。
これは結構良い切り返しだと思うんですけどねぇ・・・。どうでしょう?(誰に聞いてるんだ・・・

July 25th 2014 追記
原発廃止→火力に依存→化石燃料の値段が上がる、という話があります。
火力に依存するから化石燃料の値段が上がる、というのと、
もともと化石燃料の値段が上昇傾向にある、というのと、
燃料の調達方法が違う(買い方が違う)からそもそも比較のしようがない
という論法、色々ありそうです。どのセオリーを取るのか、
エビデンスをそろえて丁寧に論じる、または反論に対してディフェンする必要が
特に肯定側は必要かもしれません。どちら側のエビデンスにも使えそうな気がするので
紹介しておきます。

山本隆三(やまもと・りゅうぞう)

常葉大学経営学部教授

京都大学卒業後、住友商事入社。地球環境部長などを経て2008年から10年までプール学院大学国際文化学部教授。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1900?page=


彼のスタンスを表す部分をまず引用します。
引用
 しかし、発電コストの基本に関わる燃料を高く購入していると邪推するのは、現場で燃料購入に携わっている多くの人たちを愚弄することになる。20年間海外からの石炭の輸入と価格交渉に携わり、電力会社に石炭を売っていた現場を知る筆者としては、「総括原価主義でコストを気にせず電力会社が燃料購入を行っている」などという主張は、少なくとも海外炭については「全くの空事。嘘もいい加減にしろ」と言わざるをえない。
引用終了

彼の意見としては
引用
 原発事故のあと、「電力会社は競争力を高めるために、安全面を強化する投資を行わなかった」との非難があった。その一方、「総括原価主義で必要なコストは全て回収することが可能なので、高い燃料を購入している」と非難されている。「電力会社は信用できないから、やっていることは全て気に入らない」という人たちがいるのだろう。
 しかし、安定的に電気を供給するために、当然必要となる燃料費の安定供給を実現するには、日本の現在の状況では長期契約を主体に購入せざるを得ない。もちろん、だからといって高い燃料を買ってよいわけではないのは当然だ。先述のように、熾烈な価格交渉も行っている。
 我々は電力供給に何を求めているのだろうか。安定的な供給が低料金で行われるのが理想だが、自由化を行った諸外国でも、安定供給と低料金が実現されたかどうかの評価は分かれている。
引用終了

シェールガス、損失を出す(2012、10、7追記)
http://blogos.com/article/95947/
つまり、採算性上げるためにガス価上昇は充分あり得る。